拝啓
 第132回日本医学物理学会 (JSMP) 学術大会の大会長を務めさせていただきます、新潟大学の宇都宮 悟と申します。本大会は、和田 真一 先生が大会長を務められた第94回大会(2007年)以来、19年ぶりに新潟での開催となります。こうして再び新潟の地で皆さまをお迎えできることを、大変うれしく思っております。

 今回の大会テーマは「Crossing the Bridge ~基礎科学と臨床の架け橋~」です。医学物理学の魅力は、物理学・生物学・情報科学といった基礎科学の成果を臨床へとつなげていくところにあります。ただし、その「つなぐ」作業は決して簡単ではありません。どんなに素晴らしい基礎研究の成果も、そのまま臨床に応用できるわけではなく、臨床に活かすための工夫や努力が欠かせません。
 新潟市の中心には「萬代橋(ばんだいばし)」という信濃川にかかる橋があります。明治19年に初代が完成した歴史ある橋で、新潟市民のシンボルとして長く親しまれてきました。萬代橋は、かつて旧長岡藩(古町側)と旧新発田藩(新潟駅側)が対立していた時代の名残を超え、街をひとつに結びつけてきた存在でもあります。今回のテーマに掲げた「架け橋」という言葉は、この萬代橋からヒントを得ました。異なる分野や立場を超えて人や知がつながることで、新しい価値を生み出す――それこそが医学物理学の目指すところだと感じています。

 これまでにも、基礎と臨床をつなぐ取り組みの中で、多くのJSMP会員の皆さまが大きな役割を果たしてこられました。本大会でも、会員同士はもちろん、他学会の皆さま、そして企業の方々との交流を通じて、多彩な「つながり」が生まれる場にしたいと思っています。この大会が皆さまにとって、未来へ向けた新たな一歩を踏み出すきっかけとなるような実りある3日間となりますことを願っております。
謹白

  
       
2025年9月吉日
第132回日本医学物理学会学術大会
大会長 宇都宮 悟
 
 
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